労働契約上の労働条件について

労働(雇用)契約を結ぶ場合に、労働基準法やパート労働法によって、一定の労働条件について書面で明示するように規定されていますが、労働契約自体は、必ずしもそうした書面による合意がなくても成立します。

ここでは、労働条件はどのように決まるのか、そしてその変更はどのようになされるのかについて記載します。



労働契約と労働条件


通常、求人条件を見て応募し、採用につながっていくのですが、求人条件に記載されている労働条件は、大体の目安であることが多く、労働契約時に改めて条件をお互いに確認し合意することになります。


上記労働条件の中、「必ず明示しなければならない事項」の最初の2項目以外は、就業規則に定められているので、それら事項については就業規則を交付することで構わないことになっています。

尚、採用内定は判例によって労働契約の成立であると解されているので、労働条件の明示も採用内定段階でなされる必要があります。



労働条件が明確でない場合


労働条件は、上記の通り、労働契約時に合意することになっていますが、全ての詳細について一つ一つ合意することは現実的ではありません。また、労働条件を示すものとして、労働契約時の個別契約書(労働条件通知書等を含む)の他に、法令、(組合がある場合)労働協約、(就業規則がある場合)就業規則がありますが、それらの間に差違があることも考えられます。そうしたことから、法令では次のように定められています。


上記をまとめると次のようになります。



労働条件の変更


労働条件は、使用者と労働者が合意すれば、上述の法規定の範囲内で変更することができます(労働契約法8条)。労働者に有利な変更であれば、労働者が反対することは考えられず、変更に支障はないでしょう。

不利益変更でも、労働者の合意があれば、変更することができます。但し、労使の力関係を考慮して、労働者の合意が自由意思によるものかどうか慎重に判断されます。

問題は、労働者にとって不利益となる変更で、しかも労働者の合意が得られない場合です。
労働契約法10条に、「変更後の就業規則を労働者に周知させ、且つ、変更が合理的であれば、変更された就業規則の労働条件が適用される」と規定されています。
就業規則は、基本的に使用者側が作成します(労働者側の意見は聴きますが、同意を得る必要はありません)ので、就業規則を変更することで労働者にとって不利益な変更も可能ということになりそうですが、判例では、この条文にある「合理性」に対し厳しい判断がなされており、容易には不利益変更は認められません。

更に、「就業規則の変更によっては変更されないと合意されていた労働条件」についても不利益変更する方法として、『変更解約告知』があります。
これは、労働条件の不利益変更に労働者が合意しないとき、新労働条件での再契約か、それを拒否するときは労働契約の解約という二者択一を迫るもので、制度として賛否両論あるようですが、今後こうしたケースが増える可能性はあると思われます。



労使慣行


労使慣行とは、就業規則や労働協約には規定されていないが、長い間反復・継続して行われており、使用者と労働者の双方に対し、事実上の規定として取扱われているものをいいます。

労使慣行も、労働契約の内容になっていると認められる場合は、労働契約としての効力があるので、それらを変更する場合も、上記の労働条件変更のルールや手法が適用されることになるので注意が必要です。

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