就業規則サンプル
就業規則 第3章 採用・異動等のサンプルです。
第3章 採用・異動等
- 第17条 採用
- 第18条 採用決定者の書類提出
- 第19条 届出義務
- 第20条 労働条件の明示
- 第21条 試用期間
- 第22条 人事異動・転勤・出向
- 第23条 休職
第3章 採用・異動等 サンプル
第17条 (採用)
会社は、入社希望者のうちから所定の方法により選考し、社員として採用する。
2) 採用内定者が、次のいずれかに該当する場合は、採用を取り消す。
- @ 学校を卒業できなかったとき
- A 健康状態が悪化し、勤務することが困難なとき
- B 採用選考時に提出した書類に偽りがあったとき
- C 犯罪行為を行ったとき
- D 内定通知をしたときには予想できなかった会社の経営環境の悪化、事業運営の見直し等が行われたとき
- E 入社日に無断で出社せず、その後3日以上連絡が取れないとき
- F その他の事由により、入社することが不適当と認められたとき
- 選考時の提出書類等についてここでは規定していませんが、通常の提出書類だけでは把握しにくい応募者の健康状態(病歴)や借金状況等についても場合によっては知っておく必要があるかもしれません。プライバシーの問題があるので強制はできませんが、そうした調査アンケートに自由意思で記入してもらうことも検討して下さい。
- 採用内定通知を出したときに、解約権留保付の労働契約が成立します。内定通知を出すときに合わせて取消(解約)事由を説明(記載)しておく必要がありますが、裁判例では、これら事由に該当することは必要条件であり、そのうえで取消が認められるかどうかは、「客観的に合理的で社会通念上相当」かどうかで判断されます。(卒業できなかったときや重大な犯罪を行ったときは取消しても問題ありませんが、裁判所は取消に厳しい傾向がありますので、実際に取消す場合は十分な注意が必要です)
- 採用時の法規制については、こちら(募集・採用時の法規制)を参照して下さい
第18条 (採用決定者の提出書類)
社員として採用された者は、選考に際し提出済みのものを除き、次の書類を出社初日に提出しなければならない。但し、会社の判断でその一部が省略できるものとする。
- @履歴書
- A身元保証書
- B住民票記載事項証明書
- C誓約書
- D健康診断書
- E前職のある者については、年金手帳、雇用保険被保険者証、源泉徴収票
- F業務上必要な免許証等の写し
- Gその他会社が指定するもの
2) 前項の提出書類は、採用・人事・労務に関する手続き及び人事・労務管理に利用する。
- 外国人の場合には、他にも提出書類が必要です(外国人の雇用・離職のときは、ハローワークに届出る必要があります)
- 非正社員の場合には、一部省略するのが一般的です
- 有期雇用者の場合には、契約更新時の要件や手続きについて規定する必要があります
- 「住民票」や「戸籍謄本」「戸籍抄本」の代わりに、「住民票記載事項証明書」の提出にとどめるように行政指導がなされています
- 身元保証の有効期限は、法律により、期間の定めがない場合は3年、期間を定める場合は最長5年です(延長するときは、再度身元保証書を提出してもらう必要があります)
- 入社時に個人番号(マイナンバー)を含む個人情報を収集することになると思われますが、それら情報の保護、取り扱いについては、法に準拠すべく別に社内規程を定めます
第19条 (届出義務)
社員は次の事項につき異動があったときは速やかに届け出なければならない。
- @現住所
- A家族の氏名、続柄および世帯主の職業
- B婚姻、出生、養子縁組その他身分上の変更があったとき
- C通勤の方法
- Dその他人事管理上必要な事項
第20条 (労働条件の明示)
会社は、社員との労働契約の締結に際しては、労働契約の期間、就業の場所、従事する業務、労働時間、休日、採用時の賃金、その他の労働条件を明示した書面交付するとともに、この規則を提示して労働条件を明示するものとする。
- 労働基準法では、書面で明示しなければならない労働条件を定めています
- それ以外の労働条件もできるだけ書面で交付した方が望ましいと思いますが、量的に多くなりますので、就業規則を提示して説明すれば十分です
- 有期労働契約の場合は、契約期間について法に定めがありますので、注意が必要です
- パートタイム社員には、@昇給の有無、A退職手当の有無、B賞与の有無についても明示する必要があります
- 労働条件通知書の様式は、厚生労働省HPからダウンロードできます(記載要領も有ります)
- 年少者(18歳未満)の労働条件には法的制限がいくつかありますので、注意が必要です
- 社内預金制度を設けるときは、労使協定の締結や、管理規程の作成等、法に定めがあります
第21条 (試用期間)
新たに採用した者については、採用の日から3ヶ月間を試用期間とする。但し、会社が必要と認めるときは、この期間を短縮し、又は延長することがある。
2) 試用期間中又は試用期間満了時に、能力、勤務態度、健康状態等において社員として不適格と認められた者は、解雇する。但し、入社後14日を経過した者を解雇する場合は、第○条の解雇予告の手続きを経る。
3) 試用期間は、勤続年数に通算する。
- 試用期間は、自由に定めて下さい(一般には、1-6ヶ月と思われます)(本採用拒否は通常の解雇より広い範囲の自由が認められますので、それを考慮すると会社にとっては試用期間は長い方が良いのかもしれませんが、あまりに長期間は認められません)
- 退職金の計算においては、試用期間を勤続年数に通算しなくても構いませんが、通常は通算しているようです(有給休暇の付与においては、試用期間は通算する必要があります)
- 第2項については、解雇(本採用取消)事由(即ち、不適格の判断基準)を具体的に列記しておいた方が良いと思います
- 第2項の規定があるからといって、試用期間中であれば、社員として不適格と事業主が判断すれば容易に解雇できるというわけではなく、「客観的に合理的で社会通念上相当」と認められる理由が必要なことには、変わりありません
- 第23条で試用期間中の休職を認めていませんが、勿論認めることは差し支えありません
第22条 (人事異動・転勤・出向)
会社は、業務上必要がある場合は、社員の就業する場所もしくは従事する業務の変更又は転勤を命ずることがある。
2) 会社は業務の都合により社員に合弁会社、並びに関連会社に出向、あるいは転籍を命ずることができる。
3) 会社は、転籍を命じるときは、あらかじめ社員本人の個別の同意を得るものとする。
4) 社員は、正当な理由なく上記人事異動・転勤・出向命令を拒むことはできない。
5) 出向及び転籍に関する事項については、別に定める「正社員出向・転籍規則」による。
- 人事異動を行う根拠条文となりますので、異動を行うのであれば必ず規定して下さい
- 但し、職務限定や勤務地限定で労働契約したときは、本人の合意がなければ異動はできません
- 就業規則に規定してあるといっても、異動が全く自由に命令できるという訳ではなく、業務上の必要性や人選の仕方等、注意すべき事項があります(詳細省略)
- 役職定年を設ける場合は、規定して下さい
- 転籍を伴う場合(営業譲渡、分社化、M&Aなど)は、個別同意が前提となります
第23条 (休職)
社員が、次の各号の一に該当するときは、所定の期間休職とすることがある。また、休職期間は、本人の業績、職務、病状等により、一定期間延長することがある。
- @私傷病による欠勤が1ヶ月を超えたとき、又は心身の故障等により不完全な労務提供が行われていると会社が判断したとき(私傷病休職) : 6ヶ月
- A他社に出向をしたとき(出向休職) : 出向している期間
- B前号のほか、特別の事情があり休職させることが適当と認められるとき : 会社の認める期間
2) 前項の休職期間の起算日は、発令により会社が指定した日とする。
3) 前項1号の欠勤期間が断続している場合であっても、同一の事由により1暦月に10日以上欠勤したときは、その欠勤日数が通算して30日を超えたときに休職とする。
4) 社員が休職となる場合には、その事由と休職期間を書面にて会社に提出しなければならない。
5) 休職期間中に休職事由が消滅したときは、元の職務に復帰させる。但し、元の職務に復帰させることが困難であるか、又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
6) 私傷病により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治ゆせず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。
7) 私傷病休職の場合、復職に当たっては、社員の主治医の診断書を提出すること。なお、必要あると認めたときは、会社は、医師を指定して、更に診断書を提出させることがある。
8) 私傷病求職の復職後90日以内に同一若しくは類似事由により再び欠勤する場合は休職を命ずる。この場合、休職期間は第1項の休職期間から前休職期間を控除した期間とする。
9) 休職期間中は、賃金を支払わない。
10) 休職期間は、原則として勤続年数に通算しない。但し、会社が必要と認めた場合は、勤続年数に通算する。
11) 休職期間中、会社が社会保険料の社員負担分・住民税等を給与から控除できなかった場合、社員は、当月末までに会社の指定する口座に本人負担分を振り込まなければならない。
12) 試用期間中は、休職制度は適用しない。
- 休職事由、期間については自由に決定できます
- 上記規定例では、私傷病欠勤が1ヶ月を超えたときから休職となります
- 次のような規定を設けることも考えられます
「会社は、復職の可能性が少ないものと会社が判断した場合は、第1項の規定にかかわらず、休職を認めず、又は休職期間を短縮することがある」 - 私傷病休職の場合、勤続年数で休職期間に差を設けることも考えられます
- この他に、公職就任、労働組合に専従、刑事事件で起訴の休職が考えられます
- 適用範囲は正社員のみとして良いかどうか決めて下さい
- 第8項の期間は、自由に定めて下さい(一般には、3-6ヶ月と思われます)
- 第11項については、入社1年未満には適用しない、とすることも考えられます
- うつ病後のリハビリ出社の取り扱いについても記載した方が良いかもしれません