有期労働契約に関する法規制

有期労働契約は、期間の定めのある労働(雇用)契約であり、日雇、アルバイト、パートタイマー、契約社員、嘱託、派遣社員、等の多くの場合の労働契約に用いられています。

有期労働契約は、契約期間が満了すれば雇用関係が終了するわけですが、契約を更新して延長する場合も多く、それに伴いトラブルも生じています。

労働契約法や労働基準法等の労働法は、有期労働契約者にも当然ながら適用されますが、ここでは、有期労働契約に関して特に注意すべき法規制について記載します。



有期労働契約者の契約期間


労働基準法14条により、有期労働契約期間の上限は、次の場合を除き、原則3年以内と定められています。

一方、有期労働契約期間の下限については、特に定めはありませんが、労働契約法17条において、「必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない」とされています。
また、「有期労働契約の締結、更新、雇止めに関する基準」に、「契約を1回以上更新し、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない」とあります。



有期労働契約から無期労働契約への転換(及びその特例)


労働契約法改正により、平成25年4月より、有期労働契約が5年を超えて反復更新されたときには、無期労働契約に転換できることとなりました。(平成25年4月以降に締結された有期労働契約から、この5年の契約期間に算入されます)

平成26年に施行された有期雇用特別措置法により、次の2ケースにおいては、予め都道府県労働局の認定を受けておけば、上記無期転換ルールに対して例外扱いがなされることとなりました。



有期労働契約の途中解約


労働契約法17条1項に、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、止むを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」 と規定されており、この「やむを得ない事由」は、解雇における「客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる事由」より厳しく解されています。(つまり、余程の事情がなければ認められないということになります)

一方、労働者側からは、1年を超える有期労働契約を締結したとき、1年経過後はいつでも退職できます(損害賠償の責任を負わない)(労基法附則137条)



有期労働条件の更新・雇止め(更新拒否)


「労働基準法施行規則」及び「有期労働契約の締結、更新、雇止めに関する基準」に、次の規定があります。

契約期間を過ぎても、(例えば失念により)更新することなくそのまま労働関係を継続していた場合には、黙示の更新とみなされます(民法629条)。(この場合に、前回と同じ期間で更新したとみなす見解と更新後は期間の定めのない契約となるという見解の2つがあるようです)

有期労働契約締結時に、当初から期限を切っていれば、その期限が来れば契約もそこで終了となるのですが、いつまで勤務してもらうかはっきりしない場合は、適当な期間の契約を反復更新していくことになります。このように契約を反復更新した後に雇止めする場合にトラブルとなることがあります。

平成24年に、これまでの判例に基づき労働契約が改正され、次のいずれかに該当する場合で、「雇止めが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、従前の有期労働契約がそのまま更新されることとなりました。

尚、これらに2ケースに該当するかどうかの判断基準は次の通りです。



不合理な労働条件の禁止


平成25年4月より、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることが禁止されます。

賃金や労働時間等だけでなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生等、労働者に対する一切の待遇(労働条件)が含まれます。

不合理性の判断については、通達において、「有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違について、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されるものであること。とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して特段の理由がない限り合理的とは認められないと解される」とあります。

尚、不合理として無効とされた労働条件については、基本的には、無期契約労働者と同じ労働条件が認められると解されます。

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